王になろうとした男 : The Man Who Would Be King (1975)

理想郷を追って、あらゆる困難に挑んだ2人の男の冒険を描く。製作はジョン・フォアマン、監督・脚本は「マッキントッシュの男」のジョン・ヒューストン、原作はルドヤード・キプリング、撮影はオズワルド・モリス、音楽はモーリス・ジャール、編集はラッセル・ロイドが各々担当。

監督:ジョン・ヒューストン
出演:ショーン・コネリー、マイケル・ケイン、クリストファ・プラマー、サイード・ジャフリー、シャキーラ・ケインなど。

王になろうとした男 : The Man Who Would Be King (1975)のあらすじ

1880年代のインド・ラホール。英字新聞ノーザン・スターの特派員ルドヤード・キプリング(クリストファー・プラマー) は、深夜のオフィスで独り原稿を書いていた。ふと背後に人の気配を感じ、ふりむくとボロ布をまとった乞食のような男が立っていた。その男はピーチ・カーネハン(マイケル・ケイン)と名のったが、何者なのかしばらくの間、想い出せなかった。そうだ、ピーチだ! しかし、何という変わりようだ。あのハツラツとしたハンサムな青年の面影はどこにもなかった。キプリングのすすめで、ピーチは椅子にかけウィスキーを一杯呑むと、信じられないような物語を語り始めた。--

キプリングとピーチが出逢ったのは、ラホール駅でピールがキプリングの懐中時計を失敬したことからだった。その時計にはフリー・メイソンのグランドマスターの紋章が刻まれていた。ピーチは、8日後にマーワー連絡駅を通りかかると、友人の軍曹仲間のダニエル・ドレイボット(ショーン・コネリー)にメッセージを届けてほしいといい残すと、姿を消した。数日後、ドレイボットとピーチはキプリングの前に姿を現わした。2人は驚くべき計画を打ち明けた。カフリスタンにいってそこの王様になろうというのだ。こいつらは気狂いかと、キプリングはあきれかえった。ヒマラヤの奥にあるカフリスタンにはアレキサンダー大王の遠征以来白人が足をふみ入れたことはないのだ。

しかし、2人の決心は固く、気狂い行者と召使いに扮して出発した。灼熱の太陽、大雪崩、山賊などと戦いながら奇跡的にカフリスタンのカフィリ族の集落に辿り着いた。集落の中に英語の出来る男ビリー・フィッシュ(サイード・ジャフリー)がいた。彼のおかげで2人は村の賓客として迎えられ、村の男たちに英国式の軍事教練をほどこした。その成果は著しく、村はカフリスタン1の最強の部族となり、次々と他の村を支配下に収めていった。この国には、アレキサンダー大王がいつの日か息子をつかわすと約束したという伝説があり、ドレイボットこそその息子ではないかという噂がまたたく間にひろがった。やがて村人たちを彼を神としてあがめるようになった。

そんなある日、シカンダガルの聖なる都から5人の聖者たちが村を訪れ、大司祭が会いたいむねを告げた。大司祭は、ドレイボットが神である証しを示すことを要求し、刃をつきつけた。そのとき、彼の胸にはキプリングのくれたフリー・メイソンの紋章が光っていた。それは、奇しくも寺院の石の祭壇に刻まれた紋章とまったく同じだった。ドレイボットは神となりシカンダガルの王となった。ピーチは総理、ビリーは侍従だ。そして、アレキサンダー大王の遺産である莫大な財宝が与えられた。

平穏な日々が続いた。しかしそのうち、ドレイボットはいつか見かけた美しい娘ロクザンヌ(シャキーラ・ケイン)を妻にしたいといい始めた。ピーチは財宝を持って早くこの国を出るべきだと主張したが彼は耳をかそうとしなかった。神が結婚する、しかも平民のむすめをめとる。このニュースは民衆に大きな衝撃を与えた。やがて結婚式の日がきた。盛大な式もすみ、ドレイボットは花嫁にキスをした。おそれおののくロクザンヌは反射的に彼の頬を噛んだ。頬から流れ出る血。それを目撃した聖職者と民衆は、口々に叫んだ。「神じゃない」「インチキだ」。ドレイボット、ピーチ、ビリーは持てるだけの宝物をかかえ、ライフルを射ちながら逃げ出したが、石つぶ、棒が襲い、まずビリーが倒れた。吊橋の上に追われたドレイボットは覚悟した。英国の歌を高らかに歌い、橋とともに深い峡谷に落下していった。英国人として立派に死んでいったのだ。

--かろうじて脱出したピーチは、その長い物語を語り終えるとボロ布の中からドレイボットの白骨化した首を取り出した。その頭には純金で出来たカフリスタンの王冠が、かつて王になろうとした男、そして束の間、王であり神であった男の頭上に輝いていた。

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